睡眠障害(症状・種類)
睡眠障害はうつ病の8割以上にみられる症状です。もっとも多いのは早朝覚醒ですが、入眠障害の人や、夕方ごろまで寝ている過眠タイプの人もいます。
夜明け前に目が覚め、その後眠れなくなる
うつ病の人は物事を悲観的に考えがちですから、いろいろなことを思い悩み、もんもんとしながら朝を迎えることになります。起床する時刻になっても、短時間しか眠っていないため、寝覚めが悪く、強い疲労感が残ります。また、朝方は抑うつ症状がもっとも強く現れることが多いので、「また1日が始まったか…」と、いっそうめいってしまいます。
たとえようのないつらさに、「どうでもいいや」という気持ちになり、ふとんから起き上がろうという気力もなくなります。
夜、十分に眠れないので、昼ごろから眠り、夜がくると目が冴えて眠れないという悪循環をきたし、昼夜逆転した生活パターンになる人もいます。人によっては、日中でも雨戸やカーテンを閉め切って、暗がりで寝ているようになります。これは、うつ病が重くなると、太陽光や電灯を異常にまぶしく感じるようになるためです。家族が部屋の雨戸やカーテンを開けると、本人はふとんを頭からかぶってしまいます。
睡眠障害と日内変動が重なったときの心理状態
①夜に目が覚めて、それ以降眠れない。
②「会社を休みたい」→「休むなんて許されない」→「でも、頑張れない」→「もっとしっかりしなければ」→「でも、休みたい」と、思考が堂々めぐりをして、疲れ切って朝を迎える
③会社を休むと決めると、少し気持ちが楽になり、昼ごろから起きられるようになる
④夕方になると、1日が終わったという安堵感から、気持ちがぐっと楽になる
⑤就寝時刻になると、一応寝つくことはできるが、途中で目が覚めて、あれこれ思い悩んでしまう。(①に戻る。この繰り返し)
長時間眠り続ける眠になることもある
それにもかかわらず熟睡感がなく、「1日中眠くてしかたがない」と訴える人もいます。なお、過眠の患者さんは、それほど多くはありません。
睡眠障害の種類
睡眠障害には、「不眠」と「過眠」とがあります。睡眠障害で最も多いのが「不眠症」です。不眠はだれでも経験するものですが、あまりにも長く続き、生活に支障が出てくるようになると問題です。不眠の原因は、精神面の影響によるものと、体の障害によるものがあります。心の病気としては、「神経症」「うつ病」「統合失調症」「躁うつ病」「摂食害」などで不眠がみられます。不眠にはいくつかの種類があります。
入眠障害
ベッドに入っても、なかなか寝つけないもので、不眠ではこれがいちばん多いようです。神経症でもよくみられます。
中途覚醒
夜中に、何度も起きてしまうものです。
早朝覚醒
夜中に近い、かなり早い時間に目が覚めてしまうタイプです。一度目が覚めてしまうと、もう眠ることができなくなります。特に、うつ病では、この早朝覚醒がよくみられます。
熟眠障害
ある程度の時間は眠っているにもかかわらず、よく眠ったとか、熟睡したという気分にならないものです。
睡眠障害と不眠症状はちがう?
寝つきが悪いのは、寝床に入ってから1時間以上たっても眠れないケースです。眠らなければいけないと思うことがストレスとなり、脳が休むべき時間なのに活動しすぎて、眠ろうとすればするほど目がさえてしまいます。
眠りが浅く、何度も目が覚めるのは、お酒の飲みすぎや加齢による影響でもあらわれます。アルコールは、少量なら寝つきをよくしますが、度を超すと眠りの質を悪くします。お年寄りは、日中の居眠りや運動不足が原因になっていたり、筋肉が老化するために足がムズムズしたり、けいれんを起こして眠りが妨げられていることがあります。
早く目が覚めてしまう早朝覚醒は、うつ病でも起こりやすい睡眠障害のひとつです。ほかに、加齢によっても起こりますが、この場合は無理にもう一度眠ろうとせずに起きてしまい、昼間の仮眠もとらないようにすれば、次は朝までゆっくり眠れます。
昼間も眠気がとれず、居眠りをしてしまうのは、加齢のほか 睡眠時無呼吸症候群が考えられます。太っていて気道が圧迫されるもので、眠りが浅いこともあります。横向きで寝たり、減量することで改善できるケースが多いようです。