仮面うつ病
いろいろなうつ状態がある中で、軽症うつ病は最も多く存在すると考えられます。また、昔から知られている「仮面うつ病」も軽症うつ病に含まれるとされています。
うつ症状が身体症状の影に隠れている「仮面うつ病」
「仮面うつ病」の全身症状
また、「よく眠れない」といった不眠や睡眠障害も、仮面うつ病によくみられる症状です。特に夜中の2時から1時ごろまでの間に目が覚めてしまう 早朝覚醒という 睡眠障害が多く、不眠が続くと仕事の能率も下がり、からだにもさまざまな異常があらわれます。また「食欲不振」や「性欲の減退」も全身症状としてみられます.食欲も性欲も人間の本能ですが、生きる力が低下して、そうした根源的な欲求も低下してしまうのです。食欲不振が続くと当然やせてきて、体重も減少します。また性欲の減退は、男性の場合はインポテンツ、女性の場合は無月経などの症状としてあらわれます。仮面うつ病の全身症状は、このように体調がどこかいつもと違ってすぐれない、という違和感から始まります。
「仮面うつ病」の部分的症状
呼吸器にあらわれる症状としては、胸痛、過呼吸、呼吸困難感などがありますが、うつ病診断のバロメーターになるのは、ずばり「ため息」でしょう。無意識のうちにため息をつくことを繰り返すような場合は、要注意です。そのほか部分的な症状としては頭痛、肩こり、筋肉痛、背中の痛み、腰痛、手足のしびれや痛みなど、実にさまざまなものがあります。さらに泌尿・生殖器の症状としては、頻尿、睾丸の痛み、不感症、排尿痛があります 交感神経、副交感神経がバランスを失うために自律神経性症状として口の渇き、発汗、めまい、目のかすみ、耳鳴りなどもあります。
仮面うつ病は多くの部分的な症状をともないますが、最大の特徴は「痛み」です。腹痛、胸痛などからだのあちこちの病みは睡眠障害、倦怠感とならぶ仮面うつ病の3人症状といってもいいほど、発生頻度の高いものです。しかし痛み止めなどの薬では、あまり効果はありません。これらの機能を回復させるには、仮面うつ病の底にある精神的な症状を明らかにして、適切な治療をすることが何よりも必要です。
働き盛りの30代が「仮面うつ病」になりやすい
患者さんのほとんどが最初はどこかからだの調子が悪いなど、不快な症状や、異常は感じていても、それがうつ病によるものという自覚を持たない傾向があります。また、この不快な症状は「ストレスからくるものではないか」「どうやら精神的な問題ではないか」と気づいている人でも、大部分は「気分の問題であって、自分は病気ではないのだ」と考えてしまったといいます。さらにははたらき盛りの30代らしく、「ストレスに負けるなんて自分がたるんでいる証拠だ」とか「自分はだめだ」と、自分を追いつめてしまうこともあり、よけいに病状を悪化させてしまうこともあるようです。