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うつ病の症状

仮面うつ病

いろいろなうつ状態がある中で、軽症うつ病は最も多く存在すると考えられます。また、昔から知られている「仮面うつ病」も軽症うつ病に含まれるとされています。

うつ症状が身体症状の影に隠れている「仮面うつ病」

倦怠感
「軽症うつ病」の症状の特徴にい 不定愁訴があります。 不定愁訴とは、原因がわからない身体症状のことをいい「頭痛」「肩こり」「胃痛」「倦怠感」などが脈絡もなく現れることです。よくある訴えとしては「とにかくだるい」「胃が痛い」「頭痛が続いている」「体のあちこちがしびれる」などです。まさか「うつ病」とは思いませんから、まず内科的な病気を疑い、たいてい内科や脳神経科を受診しますが、検査をして原因を調べても、どこにも異常は発見されません。このように、まず 身体症状が前面に現れ、うつ病の症状が隠れてしまっているタイプは一般的に「 仮面うつ病」と呼ばれています。これは、身体症状にマスクされたうつ病という意味で、1958年にカナダのクラールという精神科医が名づけたとされています。「うつ病らしくないうつ病」という意味では、軽症うつ病に含まれるという考え方が一般的になっています。

「仮面うつ病」の全身症状

睡眠障害
仮面うつ病になると、からだにはどんな症状があらわれるのでしょうか 人によって異なり、一概には断定できませんが、大きく分けると全身を襲う症状と、部分的な症状に分けられます。まずは全身の症状から紹介していきます。仮面うつ病のもっとも一般的な症状は「全身の疲労感=倦怠感」です。「からだがだるい」のは、ちょっと疲れているせいだと思いがちですが、いくら休養しても回復しません。週末にたっぷり休んでも、月曜日にはまだ疲れが残っているという具合です。
また、「よく眠れない」といった不眠や睡眠障害も、仮面うつ病によくみられる症状です。特に夜中の2時から1時ごろまでの間に目が覚めてしまう 早朝覚醒という 睡眠障害が多く、不眠が続くと仕事の能率も下がり、からだにもさまざまな異常があらわれます。また「食欲不振」や「性欲の減退」も全身症状としてみられます.食欲も性欲も人間の本能ですが、生きる力が低下して、そうした根源的な欲求も低下してしまうのです。食欲不振が続くと当然やせてきて、体重も減少します。また性欲の減退は、男性の場合はインポテンツ、女性の場合は無月経などの症状としてあらわれます。仮面うつ病の全身症状は、このように体調がどこかいつもと違ってすぐれない、という違和感から始まります。

「仮面うつ病」の部分的症状

吐き気
次に部分的症状ですが、全身症状とは異なり、症状が局所的にはっきりと出てくるのが特徴です.症状がもっともあらわれやすい臓器は「胃腸」で、具体的には吐き気、腹痛、そのほかにも便秘、味覚異常、嚥下困難、食道や喉の狭まった感じ、陶やけなどがあらわれることもあります、このような症状が長く続くと、 慢性胃炎過敏性腸症候群などと診断され、うつ病が隠れていることが見逃されがちです。また心臓にあらわれる症状としては、動悸や胸部の不快感、狭心症の発作時に起こる不安感などがあります.さらに動悸や立ちくらみをともなう病気としては、思春期に起こる「 起立性調節障害」がありますが、この病気ではと疑われて実は仮面うつ病であったというケースが少なくありません 全身の倦怠感、頭痛、腹痛などをともなう場合は注意が必要です。
呼吸器にあらわれる症状としては、胸痛、過呼吸、呼吸困難感などがありますが、うつ病診断のバロメーターになるのは、ずばり「ため息」でしょう。無意識のうちにため息をつくことを繰り返すような場合は、要注意です。そのほか部分的な症状としては頭痛、肩こり、筋肉痛、背中の痛み、腰痛、手足のしびれや痛みなど、実にさまざまなものがあります。さらに泌尿・生殖器の症状としては、頻尿、睾丸の痛み、不感症、排尿痛があります 交感神経、副交感神経がバランスを失うために自律神経性症状として口の渇き、発汗、めまい、目のかすみ、耳鳴りなどもあります。
仮面うつ病は多くの部分的な症状をともないますが、最大の特徴は「痛み」です。腹痛、胸痛などからだのあちこちの病みは睡眠障害、倦怠感とならぶ仮面うつ病の3人症状といってもいいほど、発生頻度の高いものです。しかし痛み止めなどの薬では、あまり効果はありません。これらの機能を回復させるには、仮面うつ病の底にある精神的な症状を明らかにして、適切な治療をすることが何よりも必要です。

働き盛りの30代が「仮面うつ病」になりやすい

30代が「仮面うつ病」になりやすい
ストレス社会といわれる現代、精神科の受診数が急増していますが、仮面うつ病の患者数も増加の一途をたどっています 10歳代から70歳代までと、はば広い患者層のなかで、特に数が多いのは30歳代をピークとして20歳代~50歳代までです。いわばはたらき盛りの年代です男性の場合は30歳代が特に多く、ほかの年代の倍以上の外来患者があったという報告もあるほどです。女性の場合は20歳代、30歳代、40歳代が、ほぼ同じくらいの患者数で、男性に比べ広くまん廷している様子がうかがえます。
患者さんのほとんどが最初はどこかからだの調子が悪いなど、不快な症状や、異常は感じていても、それがうつ病によるものという自覚を持たない傾向があります。また、この不快な症状は「ストレスからくるものではないか」「どうやら精神的な問題ではないか」と気づいている人でも、大部分は「気分の問題であって、自分は病気ではないのだ」と考えてしまったといいます。さらにははたらき盛りの30代らしく、「ストレスに負けるなんて自分がたるんでいる証拠だ」とか「自分はだめだ」と、自分を追いつめてしまうこともあり、よけいに病状を悪化させてしまうこともあるようです。

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