治療のベースは「休養」
うつ病の治療は、とにかく初めは休養をとることです。仕事は休み、家事も避けるに越したことはありません。心と体を休めることが第一の治療です。早くよくなってもとの生活を取り戻すためにも、ゆっくり休養するようにしましょう。
心と体を休ませること重要な治療法
まだ働けると思っても、仕事の能率は上がりません。主治医が休暇が必要と診断し、指示するのですから、思い切って休暇をとりましょう。休暇中は、原則として1~2週間に一度の割合で通院し、できるだけ安静にして心身を休ませます。
休養・薬物療法・精神療法が基本
休養
ストレスになっていることから離れてゆっくり休み、心身のエネルギーを回復させる
薬物療法
抗うつ薬を中心とした薬を服用して、抑うつ症状、不安、焦燥、身体症状などを取り除く
精神療法
状況を正しく認識し、自分の性格傾向やストレスへの対処法などを理解する
休養の期間について
そこで、休めないという患者さんには、「ひとまず、体調不良を理由に休みをとってみましょう。何日くらいなら休めそうですか」と尋ねます。たいていの患者さんは、「数日か1週間」と答えますから、「では、1週間から始めましょう」と提案します。最初にとる休養は長い期間である必要はありません。患者さんが「病気の治療のためには、仕事を休まなければならない」ということを認識できれば大きな進歩です。
休養をとるときの心がまえ
●「いま休まず、先延ばしにすれば、周囲の人にもっと負担がかかる」ということを認識する。
●主治医の診断のもと、「休養が必要」と指示されているのだから、ためらわずに休む。
●最初から長期休暇をとる必要はない。「体調不良」を理由に、数日あるいは1週間の休暇願を出す。
●休養中は、仕事や会社のことは忘れる。
●家事はほかの家族に手伝ってもらう。
●食事やトイレ以外は寝たいだけ寝ているくらいの気持ちで過ごす。
●苦痛に感じる人つきあいは、できるだけ避ける。
●早く治そうと焦らない。
回復してきたと思ってもすぐにもとの生活に戻らない
たとえば、過労が原因でうつ病になった人が、以前と同じ多忙な職場に戻ったのでは、再発は時間の問題です。また、「うつ病の再発は避けたいけれど、生活習慣や考え方は変えようがない」などと思っている人は、ストレスを受けるたびに再発を繰り返すことになりかねません。うつ病になった自分を責めてはいけませんが、なぜ、この病気になったのかを見つめ直し、改めるべきところは改めていくことが必要です。その努力が、治療効果を高め、同時に再発予防に役立ちます。