思考・行動の変化
パニック障害によって、長い間ストレスや不安、恐怖にさらされ、傷ついた心が、患者さんが本来もっていた性格を変化させ、極端な行動をとらせることがあります。
思考や行動パターンが変化することも…
パニック障害の人は、発症に先だって大きなストレスをかかえている場合が多く、さらに病気によって、ふつうの人には想像できないほどの強い不安や恐怖にさらされ、二重の苦しみを背負っています。そのため、病気が重くなるほど、健康な心は傷つき、本来もっていたものとは別の思考や行動パターンへと変化していくことがあります。
●依存的になる
パニック障害になる前は行動力があって、なんでも自分でできた人でも、パニック発作が起こるようになると、過度に他人へ依存するようになります。特に、高度な広場恐怖をもつ人は、家族、友人、隣人などからいやがられるほど、絶えず人づきあいを求めることがあります。発作の恐ろしさから身を守りたいために、保護を求める気持ちが習慣化してしまうようです。
●怒りっぽくなる
非定型うつ病でもみられる怒り発作の状態です。パニック障害の場合は、発作によって神経が興奮しやすくなり、ささいなことにも並はずれて大きな反応をしてしまいます。怒り発作は、すべての患者さんにみられるものではありませんが、パニック障害を特徴づける症状です。突然やってくるパニック発作、恐怖や不安をともなう、激しい身体症状。こういった発作をくり返し、しだいに重症になると、怒りを爆発させてしまうと考えられています
●はまりやすくなる
発作のことばかりを考えるうち、ものごとを客観的にみることができなくなり、感情移入して、「はまりやすく」なります。「はまる」のは、楽しい場面です。
長い間、不安や恐怖にさらされてきたことへの反動として、自分が楽しいと思うことにはまってしまうのです。パチンコなどのギャンブルに走る、コレクションにこる、インターネットやゲームに熱中する、アルコールにふける、あるいは、次々と恋人をつくる恋愛依存のような人もいます高価な宝石や時計を買いあさり、カード破産してしまうケースもあります。
あと先を考えず、一時の高揚感や満足感によって、不安を解消しようとしているのですが、こういった行動は一家離散や生活破壊など、深刻な事態にもつながりかねません。周囲の人の気配りが大切になります。
●感応性の亢進
自他の区別がつかなくなり、相手の気分に簡単に同調してしまいます。たとえば、患者さん同士が電話で話しているときに、片方にパニック発作が起こると、もうひとりの患者さん
にも発作が起こる、といったケースがよくみられます。