うつ病とは
「うつ病」は誰でもかかりうる病気
昔からある病気
うつ病は、現在ではだいぶ認知されているものの、ほんの数十年前までは「やる気が起きない」「憂うつ気分が晴れない」という人に対して、性格の問題であるとか「怠け者病」などと、適当な理由で片付けていました。しかしうつ痛は「性格の問題」でも「怠け者痛」でもありません。
今でも少なからずこうした誤解は残っていて、これがうつ病に悩んでいる人の治療を遅らせてしまう理由になっていることは、問題にすべきことです。うつ病は、脳の神経伝達物質のアンバランスが招く病気で、誰でもかかりうる病気なのです。
うつ病の症状
基本症状は精神的なものが多い
日常生活に支障が出るほど気持ちが落ち込む
まずゆううつの程度が強いことがあげられます。通常なら、気分が少し落ち込むくらで、日常生活はふだんどおりにできますが、「うつ病のときのゆううつ」は、気力や集中力が低下して、家事や仕事が進まなくなり、日常生活に支障が出るほど深いゆううつ感にとらわれます。これが2週間以上、毎日続きます。
うつ病では、考え方が悲観的になり、現実的でなくなってきます。ふつうなら気にする必要のないようなことをひどく心配したり、簡単なできごとを重大に考えたりします。周囲の人が説明しても聞き入れず、考えを変えようとしません。なんでも悪い方向に考え、発想を変えて前向きになることができなくなります。
もの悲しく、寂しい気分や、劣等感をいだくこともあります。ひどいときは、強い不安感から、いてもたってもいられないような気分になって落ち着かなくなったり、妄想や幻覚、意識が混濁するなどの症状が出ることもあります。
からだにもさまざまな症状があらわれる
いちばん多く見られる睡眠障害
床についてもなかなか眠れなかったり、熟睡できず、夜中に何度も目が覚める、夢を見てうなされる、明け方に目が覚めて、もう一度寝つくことができないといった症状があります。
早朝覚醒はうつ病の特徴的な症状で、ふだんより数時間も早く目が覚めてしまいます。いったん寝ついてもすぐに目が覚めてしまうケースもよく見られます。また、寝覚めが悪く、目が覚めても疲労感が残っていてすっきりせず、からだを起こして布団から出ようとする気力が起こらなかったりもします。朝は、うつの精神症状が強まりやすい時間帯で、明け方に目が覚めて寝つけないときには、自殺願望が起こりやすい傾向もあります。また、不眠とは逆に、眠りすぎる過眼という症状が出るケースもあります。夜の間、睡眠時間は十分にとっているはずなのに、昼過ぎや、場合によっては夕方まで目が覚めないこともあります。それでも熟睡した感じがなく、疲労感が残ります。起きられたとしても、一日中眠くてしかたがないという人もいます。
うつ病の症状は年齢によって違う
うつ病の治療
治療のベースは「休養」
しっかり休んで薬を飲むことが治療の基本
これが悪循環を招き、どんどん悪化の一途をたどります。エネルギーが切れているなら補充が必要で、そのためには、なによりも休養することが大切です。休養と同時に、きちんと抗うつ薬を服用することが大事です。うつ病の要因が脳神経細胞の神経伝達機能障害であることが明らかである以上、抗うつ薬による治療は不可欠です。抗うつ薬に抵抗を持つ人も多いようですが、これは、飲み始めたらやめられなくなるというような、依存性のある薬ではありません。必ず医師の指示に従って服用するようにしましょう。