うつ病の精神療法(支持的精神療法・認知療法・対人関係療法)

うつ病の精神療法(支持的精神療法・認知療法・対人関係療法)

うつ病の症状

うつ病の精神療法

うつ病の場合は、精神療法だけで治すことはできません。まず薬物療法で症状を落ち着かせたうえで、症状に応じた精神療法を行うのが一般的です。

うつ病治療によく行うなわれる精神療法

精神療法うつ病と診断されると、「なんとかカウンセリングや精神療法だけで治せないだろうか」と思う人がいます。
たしかにうつ痛の治療では、精神療法も欠かせません。しかし残念ながら、うつ病は、抗うつ薬などによる薬物療法を行わずに、精神療法だけで治すことはできません。精神療法というのは、医師など治療する人が言葉や人間関係によって患者の心に働きかけ、心の不調を改善していこうとする治療法です。
精神療法は、神経症やうつ痛など心の病気に対して行われますが、病気に応じていろいろな方法がとられます。代表的なものには「行動療法」「認知療法」「精神分析法」などがあります。
うつ痛の治療には、「支持的精神療法(説得・支持・暗示療法)」や「認知療法」「対人関係療法」などがよく行われますが、その基本は医師と患者の信頼関係にあることはいうまでもありません。

●支持的精神療法(説得・支持・暗示療法)

最も基本的な精神療法といえるものです。支持療法では、医師など治療者が患者の悩みや不安をよく聞き、それを理解して支持することが基本です。
さしあたっては、医師は患者の訴えに対して、よいとか悪いとか、あるいはまちがっているというようなことは言いません。また安易に励ますようなこともしません。支持することによって患者の気持ちを楽にさせ、精神的に自立できるようにして、回復させていきます。精神療法のうちの特別な方法というよりも、医師の患者に対する働きかけのすベてが支持療法ともいえます。

●認知療法

ものごとの考え方や受け止め方を「認知」と呼びます。うつ痛の人にはその認知のゆがみがあるとされます。それを修正していこうというのが認知療法です。心が健康なときには、現実と認識のあり方にズレはあまりありません。ところがストレスなどで心に不調が生じると、考え方に柔軟性がなくなり、認識にゆがみが生じます。特にうつ病の人によくみられる認知のゆがみの例としては、「マイナス思考」や、なんでも白黒をつけようとする「二分割思考」、ひとつの例を世の中すべてにあてはめて考える「過度の一般化」などがあげられます。
このほか、なんの根拠もないのに悲観的な結論を出したり、「~すべき」とか「絶対に~」というような柔軟性のない考え方にとらわれがちです。認知療法ではこうした考え方のゆがみを修正していきます。
治療は、患者と治療者とのいわば共同作業で行われます。患者の物の見方が本当に正しいかどうかを検討し、もっと別な物の考え方ができないかどうかを話し合い、いっしょに考えていきます。それによって治療者は、悲観的で非現実的な認知のゆがみを修正して、患者がより現実的な物の見方ができるように援助していきます。
一般的には、認知療法は比較的軽いうつ病の人が対象となります。あまり重いうつ病のケースでは、周囲の人の意見を受け入れられなかったりするので、認知療法は用いられません。なお認知療法は、うつ病以外に、不安障害、摂食障害、アルコール依存症などにも適用されることがあります。

●対人関係療法

患者の認知のあり方を対象にする「認知療法」に対し、患者の人間関係を重視するのが「対人関係療法」です。患者が現在かかえている対人関係に焦点を当て、治療者との話し合いを通じて、患者自身がその問題点に気づくことで解決していく方法です。
患者がうつ病になるきっかけには、親など親しい人との死別や失恋、さまざまな人間関係のトラブルなどがありますが、患者にこうした対人関係の問題点をあらためて認識してもらい、それを解決していくものです。

●行動療法

行動療法は、その人の行動そのものを対象とする訓練療法のひとつです。人の行動は、すべて過去の経験や訓練で学習されてきたもので、困った行動や症状というのは誤って学習されてきた結果だというのが基本的な考え方です。そこで、そのような問題行動や症状がどのようにして獲得されてきたかをはっきりさせたうえで、学習の理論にもとづいた訓練を行い、困った行動や症状を修正したり消し去ろうというものです。
行動療法にはさまざまな方法があります。たとえば、パニック障害の治療では、不安のために一人で電車に乗れなくなった人のための訓練があります。まず目標をしっかりと定め、訓練を実行に移していきます。ただし、いきなり目標を実現しようとするのではなく、少しずつ慣れていくような方法がとられます。実際の行動や体験を通して、愚者の適応力を高めていくわけです。
このように、不安を感じさせる状況に患者を直面させ、恐れているような事態が実際には起こらないことを知ってもらう方法を、エクスポージャー法といいます。そのためには、この治療法について患者に十分に理解してもらう必要がありますが、その体験を繰り返すことによって、不安を感じる状況に少しずつ慣れるようにしていきます。
この方法はパニック障害のほか、強迫神経症恐怖症PTSD心的外傷後ストレス障害)などの治療にも使われることがあります。

●精神分析療法

精神分析療法は、ウィーンの医師フロイトによって始められた、主として神経症に対する精神療法です。人間には無意識の領域があって、その働きが精神に影響を与えているとして、その領域にある葛藤を表に出し、それを解決することで病気を治していこうとする方法です。ただし、この精神分析療法は費用と時間がかかりすぎることから、現在ではこの理論を応用した「精神分析的精神療法」が広く行われています。
精神分析的精神療法は、不安や恐怖、抑うつ気分などの原因を心の内側から見つけ
ようというものです。患者がいすにかけて、治療を行う人と面接する形で行われます。患者は心に浮かんだことを自由に話し、治療者はそれに対して中立的な立場で対話をしていきます。その対話の中で、患者はさまざまな反応を示します。治療者はそれらを理解し、解釈していく過程で患者の心の背後にある問題点を見つけていきます。こうして、患者に自分が今まで気づかなかった精神の動きを理解させることで、安定した心の状態に導いていきます。

認知のゆがみの例

二分割思考

あることに失敗すると、全部がだめだという、「全」か「無」の思考

過度の一般化

「一つの例でこうだから、同じようなことはすべてこうなる」と考える

破局形成

いつも最悪の事態を考えており、しかも自分に起こる確率が高いと考えてしまう

マイナス思考

よいことがあっても、「それはたまたまだ」といった否定的な思考

否定的予測

ほんのわずかなことから、勝手に否定的に予測する

自己関連づけ

自分はいつも注目され、特に悪い行いを見られる

過度の責任性

周囲の悪いことは、すべて自分に責任があると考える
すべき思考
「人間は絶対に○○すべきだ」と強く考える

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