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うつ病の症状

「定型うつ病」と「非定型うつ病」の症状の違い

たとえば睡眠ひとつをみても、定型では不眠になり、非定型では過眼になります。両者の症状の違いを知ることは、うつ病という病気を理解するための重要なポイントといえます。

症状によっては正反対のあらわれ方をする

●基本症状

うつ病の基本症状は、第一に「気分の落ち込み」。うつ病が「気分障害」とされるゆえんです。定型うつ病の場合は、ずっと落ち込んだ気分のまま低空飛行が続きます。一方、非定型うつ病では、度を越して気分が浮き沈みします。アップダウンが激しいのです。
もうひとつの基本症状である「物事に興味や関心がなく、喜びを感じることができない」状態は、定型うつ病の特徴です。非定型うつ病の場合は、好ましいことやうれしいことがあると、気分が晴れてすっきりします。この違いは、非定型うつ病の特徴である「気分反応性」によるものです。

●食欲

定型うつ病では、食欲がなくなりやせることが多いのですが、非定型うつ病の場合、やせることはまれです。非定型うつ病では、多くの場合、食欲が増してむちゃ食いをします。特に、甘いものがむしょうに欲しくなります。その結果、体重が増えます。

●睡眠

定型うつ病では、初期は朝早くに目が覚め、病気が進むにつれて、眠れない、熟睡できない、寝ても途中で目が覚める、といったことが起こり、眠りが足りない状態になります。
一方、非定型うつ病では、「寝すぎ(過眠)」になります。過眠とは、1日10時間以上眠る日が週に3日以上ある状態です。

●気性

これらの症状は、自覚症状ではなく、周囲から客観的にながめたときに認められる症状です。理由もなくイライラするのは、非定型うつ病によくみられます。
一方、定型うつ病では、何もやる気が起こらなくなります。たとえてみれば、油が切れてすべりが悪くなった車輪のようで、行動がのろく、弱く、活気がなくなります。

●疲労感

疲労感は、定型にも非定型にもありますが、定型うつ病の場合は、だるさや倦怠感が強くなります。
非定型うつ病では、初期から強い疲労感を訴えます。疲労とは体の疲れですが、最終的には脳が感じとりますので、そこから気力がない、といった形で疲労感が表現されるようになります。また、非定型うつ病では、単なる疲労感を超えて、手足が鉛をつめたように重く感じるようになります。

●自責感

非定型うつ病の人は、周囲に迷惑をかけているという意識をしばしばもちますが、これは日常近くで接している人なら了解できるレベルのものです。
ところが定型うつ病の人は、世間や神様に顔が向けられない、といった不適切で過剰な自責感をもち、妄想といえるほどになることがあります。

●思考力・集中力・決断力

定型うつ病にも、非定型うつ病にもみられる症状ですが、非定型うつ病の場合は、不安・抑うつ発作のときを除けば、病期が中等度以上に進んでからあらわれます。

●自殺願望

定型うつ病の人の希死念慮(死にたいと思うこと)は深刻で、この世から自分をなくしたい、いなくなってしまいたいと考えます。実際、病気が進むと、準備をしたり実行したりします。
一方、非定型うつ病の人も「死んでしまいたい」とよく口にしますが、それほどつらいと訴え、助けを求めているのだと考える必要があります。ただし、状況によっては、深刻に死を考えている場合もありますので、慎重に判断することが大切です。

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