非定型うつ病の診断(DSM-IⅣ)

うつ病の症状

非定型うつ病の診断

診断は医師による問診を中心に行われます。主に使われるのはDSM-IⅣの診断基準です。まずみるのは「気分反応性」で、ほかに4つの副症状のなかから2つ以上あれば診断が確定されます。

診断は医師による問診を中心に行われる

診断は医師による問診を中心非定型うつ病の診断は、医師による問診を中心に行われます。その際、症状のチェックには、主にDSM-Ⅳの診断基準が使われます。「大うつ病エピソード」の症状を5つ以上示すか、あるいは「気分変調性障害」があり、下記 の「非定型うつ病の特定基準」がみられる場合、非定型うつ病と診断されます。
しかし、臨床の場で患者さんをみていると、大うつ病エピソードの診断基準「うつ病症状がほとんど一日じゅう、ほとんど毎日、つ2週間以上続いている」場合や、気分変調性障害の「うつ病症状がほとんど一日じゅう、ない日よりある日のほうが多く、少なくとも2年間続いている」という基準を満たしている人は多くなく、実際には、うつは1日のある時間だけ、1週間に数日だけみられる、という人が大部分です。これが非定型うつ病が「プチうつ病」ともいわれるゆえんです。また、非定型うつ病の特定基準そのものにも、いくつか不確実な部分があることが指摘されています。

●「気分反応性」は逆方向が多い

DSM-Ⅳでは、非定型うつ病を特定する第一の前提は、「よいことがあると気分が明るくなる気分反応性」があることです。
しかし実際の患者さんは、ささいなことで激しく気分がふさいだり、落ち込んだりする、逆方向の気分反応性のほうがずっと多くみられます。また、非定型うつ病が重症になると、気分反応性はみられなくなることが多くなります。そのうえ、気分反応性は、非定型うつ病だけではなく、それ以外のうつ病でも認められることがあります。つまり、非定型うつ病を診断するうえで、気分反応性はそれほど重要ではないという意見もあり、現在議論が進んでいます。

●基本症状より重要な副症状

DSM-Ⅳの診断基準では、気分反応性に加えて、「体重増加、または過食」「過眠」「鉛様麻痺」「拒絶過性」のうち2つ以上あると非定型うつ病の診断が確定され、1つであれば疑いがあるとされます。
これらの4つの症状は、診断基準のうえでは「基本症状(気分反応性)」に続く「副症状」とされますが、非定型うつ病を診断するうえでは非常に重要な症状です。たとえば、気分反応性があるかどうかにかかわらず、過食(体重増加)と過眠の2症状だけを基準にしても、非定型うつ病の診断には有効であるという報告もあります。また、拒絶過敏性こそが非定型うつ病の中核症状だとする考えもあります。
非定型うつ病の人は、もともと周囲の目を気にして他者へ配慮する傾向があり、それが病気によって極端になったのが拒絶過敏性で、ここに病気の本質があると考えられるのです。ただ、拒絶過敏性は回避性パーソナリティ障害と相通じる部分があります。そのため非定型うつ病は、パーソナリティ障害と見誤られる場合があるので、診断は慎重に行う必要があります。

●診断をむずかしくしている背景

これが体の病気なら、原因となる物質(がんの場合ならがん細胞といった物質)を、血液や尿、細胞などを採取して測定・検査したり、X線やCT、MRIなどの画像検査を行って異常な部分をみつけることが可能です。しかし、非定型うつ病のような精神疾患の診断では、これができません。精神科医が、患者さんと問診を重ね、臨床経験のなかから判断していきますが、むずかしいケースもあります。
精神医学では、このような状態の患者さんには、いろいろな薬や治療法を試み、経過を観察しながら、その人に合った薬や治療法をみつけ出す、という方法をとることがあります。ところが日本では、非定型うつ病にもっとも効果をみせるモノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)が、まだ認可されていません。非定型うつ病の診断を困難にしている背景には、診断基準の不確実性に加え、こういった事情もあります。

非定型うつ病の特定基準(DSM-Ⅳによる診断基準)

大うつ病エピソード、または気分変調性障害があり、下記の特徴がある場合、非定型うつ病と特定する。

●気分反応性(好ましいことがあると気分がよくなる)がある
●気分反応性があり、さらに次の症状のうち2つ以上がある

No.1
著しい体重増加、または過食
No.2
寝ても寝ても眠い(過眠
No.3
手足に鉛がつまったように重くなる、激しい疲労感(鉛様麻痺
No.4
批判に対して過敏になり、ひきこもる(拒絶過敏性

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